心臓移植をされたお子さんのご家族の手記
【はるさん】
ドナーさんにドナーさんご家族に、友達に感謝がとまりません。
息子が6年生になりました。6年生で打つ予定のワクチンのため小児科へ。
久しぶりの小児科受診とゆうこともあり、ついでに普段少し気になっていた疲れや浮腫のことを先生に相談しました。すぐ総合病院を紹介され、次の日に受診。いろいろ検査をしている中、病院がバタバタし始めていることを感じました。先生から拘束型心筋症の説明を受け、すぐ大学病院へ入院しました。
自分の気持ちの整理もつかないままバタバタと病院へ向かう途中、息子は泣きました。唯一その時一度だけ。
それから2ヶ月間、家で生活していくための入院がはじまりました。息子は周りのバタつきに関係ないかのように笑顔で自分の人生を楽しんでいるようでした。私は息子に毎日会いに行きながらいろいろな手続きや家族、学校、友達たちへの説明に追われる日々でした。弟がまだ小さかったこともあり、友達にとても助けられました。忙しくそして後悔に押し潰されそうな日々の中、現実を受け入れるのにもかなりの時間がかかりました。
そして一度退院し友達に助けられながら小学校を卒業し、中学校へ入学。1学期を終えた夏休み移植待機入院に入りました。中学校3年間を病院で過ごし、通信高校へ入学。
待機入院1033日、このおよそ3年間の息子はずっと笑顔で生きていました。自分だけでなく、年齢を問わず周りのみんなを笑顔にし、たくさんの出会いと別れを経験しました。私は息子の笑顔やコミュ力を見ながら尊敬をしていました。私たち家族が頑張れたのは息子がずっと笑顔でいてくれたから。

高校入学からわずか1ヶ月後ドナーコールをいただきました。その日のうちに他県の大学病院へ。次の日には心臓移植がはじまりました。本当にドラマのように事が進み気持ちがついていきませんでした。ただ、今までに経験したことのない気持ちになり、空を見上げ涙が止まりませんでした。数日後ICUから病棟へ上がってきた息子は、2度目の涙を流しました。待機中泣かなかった息子の涙に誰にも知り得ぬ感情を感じました。そして一言。よかった。。と。
移植後、息子の体の中で全臓器が喜んでいるのがわかりました。息子は手のひらを返したように成長しました。走れること、風を感じられることに喜びを感じているようでした。
本当に家族みんなそれぞれ辛かった。でも本当に頑張ってきてよかった。
医師にもどうにもできない、祈るしかなかった3年間。
一度も倒れる事なく自分の心臓を守ってくれた息子。
ドナーさんが息子の人生を私たちの人生を変えてくれました。
喜びだけでなく、安心悲しみ希望心配…いろんな感情の中にいました。
今も息子の中でドナーさんの心臓は鼓動を打ち続けています。ドナーさんにドナーさんご家族に、友達に感謝がとまりません。大切に大切に生きていきます。
