「将来が見えない」 下積み長い心臓外科医、若手の「意識」と「技術」改革へ 学会がセミナー
2025.3.3
産経新聞 令和7年3月2日配信

日本小児循環器学会は2日、国内外の心臓病の子供たちを救う「あけみちゃん基金」(産経新聞厚生文化事業団運営)の助成を受け、若手医師らを対象としたセミナーを実施した。世界的にトップクラスの手術の技術を持つ日本の小児心臓血管外科医だが、技術修得には長期を要するとされ、次世代の医師育成が急務となっており、今後もセミナーなどを開催し、底上げなどを図りたいという。
「弁の内側のぎりぎりを狙ってね…」。経験を積んだ医師の指導のもと、若手の参加者が医療器具を動かす。2日に行われた「小児心臓血管外科ウィンタースクール」では、研修医や医学生約40人が指導役の医師からの助言のもと、羊の心臓や心臓の模型を使って手術を体験した。
学会は昨年、あけみちゃん基金から計1240万円の助成を受け「小児心臓血管外科医生涯育成プログラム」の活動を展開。その一環としてセミナーを開いた。
プログラム展開の背景にあるのが、若手医師らが抱える不安だ。「『将来が見えない』と感じる人も多い」。学会で人材育成の責任者を担う福岡市立こども病院の中野俊秀医師は指摘する。
小児心臓血管外科は求められる技術水準が高く若手は同世代の他科の医師に比べ、長い下積みを強いられがちだ。技術が高まった自信を持てず分野を変える人もいるという。
そこで学会はプログラムを通じ、若手医師の能力向上や不安解消を図る構えだ。中野氏は「技術を客観的に評価することで目標を持ってもらいたい」とし、セミナーの運営に当たった埼玉医科大の平野暁教医師も「小児心臓血管外科は職人芸の世界で、どのようなものか知る人も限られる。今回の参加者にとっては血肉になったのではないか」と強調する。
参加した名古屋大医学部の浅井日沙さん(25)は「普段の実習よりも実際の手術をイメージしやすく、第一線の先生の工夫を目の前で知ることができた」と話した。