脳死判定が累計1000件 日本臓器移植ネットワーク発表、移植待機になお長期間
産経新聞 令和5年10月28日配信
日本臓器移植ネットワークは28日、臓器移植法に基づく累計千例目の脳死判定が行われたと発表した。脳死下での臓器提供は平成9年の臓器移植法施行で可能となり、22年の改正法施行で本人の意思が不明でも家族の承諾だけで提供できるようになった。臓器提供者(ドナー)の数は増加傾向にあるが、今も多くの人が移植を待つ。
日本臓器移植ネットワークによると、脳死下の臓器提供は21年まで3~13件だったが、改正法施行後の22年には32件に増加。近年は年100件弱で推移し、臓器移植希望者約1万6千人のうち移植を受けることができるのは年3%ほどとなっていた。
ドナーの少なさは世界的にも際立っており、人口100万人当たりのドナー数は米国やスペインが40人を超すのに対し、日本は1人に満たない。
平均的な待機期間は、腎臓移植約15年、膵臓(すいぞう)移植約3年半、心臓移植約3年-などと長く、海外での移植に望みを託す患者もいる状況だ。
一方、臓器提供をしたいか、したくないかという意思表示を示す人はまだ少ない。
内閣府が令和3年に行った移植医療に関する世論調査では65・5%が臓器提供に「関心がある」と回答。だがすでに意思表示している人は10・2%にとどまっており、移植医療への社会の理解をどう醸成していくかが大きな課題となっている。